隣は空席のまま…
第8章 不安と天秤
流石に…呼ばれたいなぁ…
なんて思っていると看護師が診察室の扉を開け――――…私の名前を呼んだ
「――――…はい」
分娩台の様な診察台のある部屋に通されるのだとばかり思っていたが…
産婦人科の先生の居る部屋に通された
「え~っと、蔵主さん…ですね」
「はい…」
先生の前に差し出された椅子に軽く頭を下げてから座った
「今日は、健康診断で受診みたいですが――――…少しいいですか?」
産婦人科の先生は女性で緊張していた体が少しだけ解れた
「――――…はい、今…就活もしていて…後々必要になると思って…
で、ついでだから色々調べてもらおうかと…」
先生は、私のカルテと採血や尿検査の結果を見ながら私に向き合った
「そうですか――――…就活…では、ご無理をなさらないようにしてくださいね?
安定期に入るまでは、何があるか解りませんから――――」
「――――…は…い?安定期?」
「あら、自覚なかったんですね?
おめでとうございます、妊娠していますよ!」
解れた緊張が――――…
別の形となって私を
飲み込んだ