隣は空席のまま…
第8章 不安と天秤
私は、決心がつかず――――…診察椅子に座ることをためらってしまう…
でも、先生は急かすことをせず…ずっと私を待ってくれた
何度か深呼吸して――――…やっと…私は診察椅子に座ることが出来た
下着を着けずに足を広げて座った診察椅子に…
私は、絶望にも似た黒い感情しかなかった!
――――堕胎しよう
――――堕胎しかない
――――誰にも知られず…堕胎しよう
――――堕胎しか…誰も救えない
――――――――堕胎しか…選択肢はない!
私は、膣口を消毒する先生の手やガーゼの事なんかどうでもよくなっていた!
早く終われ!早く…堕胎の手続きをしなくては!!
そればかり考えていた!!