隣は空席のまま…
第8章 不安と天秤
先生は、検査結果を見ながら私の様子を伺う
「ちゃんと調べてみないと解らないけど…
2・3ヶ月…かな?」
2・3ヶ月――――…
隆太と関係があった時期だ…
思い当たる事ばかりで…胃が痛い
「――――…産めません…私…この子の事…産めません――――…」
相手には奥さんもいる――――…しかも、彼女も妊娠したと言っていた
私の出る幕は何処にもないし、出られる訳がない
「――――…事情があるのは…その顔を見たら解るわ…でも、蔵主さんあなた…お腹の子を“この子”って、言ったのよ―――…
“この子”――――…が、今どんな状況か…貴方は知らなくてはいけない気がするわ」
「――――…ぇ?」
先生は立ち上がると…私を子宮診察室に誘導した
「ここは――――…」
分娩台の様に足を広げ座る椅子に私の不安はいっそう強まる
「さぁ、私はカーテンの向こうにいるから…下を脱いでここに座って――――」