隣は空席のまま…
第8章 不安と天秤
「大丈夫ですか?蔵主さん――――…」
声を殺して泣いているのは…先生には百もお見通しなのだろう
エコーカメラを引き抜くと…「落ち着いて」と、私の足をそっと触った
斜め上のモニターには…もう、何も映っていなかったが…私はそこを見つめ
涙を流し続けた
「――――少し休んで…さっきの所に来てください」
先生は、穏やかな声で私に言うと
部屋を出で行く音がした
診察椅子から降りて…
下着を身につける――――…膣の違和感は直ぐになくたったが
モニターに映る…小さな点が頭から離れない