隣は空席のまま…
第10章 壁の大きさ小さ
「やだ――――…緊張してきたわ…」
小声で私に心境を報告するホタルがなんだか可笑しく見える
「私も、最初はそんな感じだったのかな?」
ホタルと共に別室に移り
私は、診察台に座った――――…
腰からカーテンの向こうに側の体は先生や看護師だけが見る
こちら側はモニターだけが設置されていて…殺風景ではあるが…カーテン越しのパタパタと動く人の気配は常に感じられる
リモコンで椅子の向きや角度高さを調節され私の診察は始まる
「意外と…淡々としてるもんなのね」
「カーテン越しだから…不安はあるけど…丸見えよりいいでしょ?」
「陰部見られる訳じゃないんだから!渋る理由が無いでしょうよ!彩芽のケチ!」
「なんか、嫌だったんだもん!」
「プッ――――…蔵主さん…良いですか?診察しますよ?」
先生は私たちのやり取りを聞いていたのか、吹き出し…私の内ももをトントンと軽く叩いた