隣は空席のまま…
第5章 敗北者に優しくない世界
久しぶりの――――…
バーは…
夜とは違う場所に見えた――――…
「さぁ、座って――――…今…珈琲煎れるから」
うなずき…小さい声で――――…
「はい」と、だけ――――…発した…
まだ、開店前の――――…
まだ、お酒の香りが染み付いていない…時間帯…
私は――――…マスターの煎れるから珈琲を、待つ…
「―――――…私……失敗してしまいました…」
「――――――――そう…」
昔ながらの…珈琲の煎れ方か――――…解らないが…
珈琲豆を砕く器具に…焙煎した豆をスプーンで一杯…入れ…
豆を粉砕していく――――…
ガリガリ――――…ガリガリ――――…
まだ――――…珈琲の独特な香りは…しない――――!