隣は空席のまま…
第5章 敗北者に優しくない世界
厨房から出ると……
泣き疲れた彩芽が――――…
カウンターで……瞳を閉じて寝ている――――…
「――――…こいつも…色々あったのかな?」
「君たち…本当に似てますね――――…」
マスターは、空になった珈琲カップを下げると…
俺と彩芽を見て――――…笑った…
“似てる”
そんな気はしていたけど……
俺は、こんなに不細工じゃない――――…
「営業妨害で訴えてやる――――…」
マスターは、ハハハと…また笑い――――…
「―――――戸締まり、よろしくお願いしますね」
と、自宅へ帰ってしまった――――…