隣は空席のまま…
第5章 敗北者に優しくない世界
――――――――…
「―――――ん、んん」
ひどく…最悪な夢を見ていた…
だが…――――バーのカウンターや、やたらと綺麗な男を目の前に…
夢じゃない事を思いしる
「あの~……マスターは?」
珈琲を飲んだはずなのに…口の中が塩辛い
「水…飲む?涙が口に入って塩辛いんでしょ?」
目の前にいた美形な男性が私に水を差し出す…
あれ?でも――――…何処かで聴いた声…
「ほら、帰るわよ――――…送っていくから!支度しなさい」
「――――は…はぁ…?」
私は、慌てて席から立ちあがり――――…男性の後を着いて店を出た…