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知らない世界

第9章 かずの悩み事

何も聞くことも出来ず、俺もあのとき何を言おうとしていたのかわからないまま、月日は経った。
ただあれからちょくちょくかずが遊びに来るようになり、組の若い人達が店に来るようになった。
俺と約束した通り、お酒は呑まない。
俺んち呑み屋なのにね。
と言うか、俺との約束守るなんて、結構真面目なんだね・・・ヤ⚪ザなのに。

ある日・・・


「お~い潤!」


帰ろうと教室を出ると、廊下でかずに呼び止められた。


「んっ・・・何?」

「ちょっと相談したい事があって・・・いい?」

「うん、いいけど・・・どっか寄る?」

「歩きながらでいいよ。
あのさぁ・・・俺さぁ・・・実は・・・」

「あっ、二宮君!」


クラス女子に声をかけられるかず。


「よかったら一緒に帰らない?」

「俺、潤に話があって・・・」

「かず、急ぎか?」

「急ぎと言えば急ぎだけど・・・」

「電話でいいのなら、後でかけてくればいいよ。
せっかくだからさ・・・」

「あぁ・・・うん・・・」

「松本君、じゃあね」

「おぉ・・・」


クラス女子と帰っていくかず。
あのときみたいに困り顔のかず。
と言うか、困り顔よりもあまり嬉しくないように見えるのは気のせいか?


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