夜空は百合の花を狂気的に愛す
第2章 オトギリソウ
「「キャーーーー!!!!」」
女子の甲高い声が体育館中に響く。
その声援を一身に受けているのはついこの間転校してきたばかりの我が弟達である。
男子の体育はバスケでクラスの男子達で対抗試合をやっているようだった。
「空くんも運動が得意とは…」
驚いたことにいつも大人しい空くんさえも運動神経抜群で先程から夜くんに負けないくらい何点も点を取っている。
私って2人のこと何も知らないのね…海外に住んでいたことも含めてしみじみ思う。
ぼーっとしながら試合を眺めているといきなり横に愛子が現れた。
「ちょっとォ!!ユリ!!あんた何してんの!?」
「え?な、何してるって何よ?」
「はぁ!?陽向を見なさいよ陽向を!!!さっきから夜くんや空くん達に点を取られてばっかじゃない!!バスケ部のエースがあんなんじゃ恥よ!!」
そう言われてみればひーくんはなんだか調子が出てないみたいだった。双子達に対するひーくんのチームはすごく差がついている。
ひーくん、どうしたのかしら…