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久志「…っう…泣くな、笑え、笑うんだ
笑って明より好きになれる人を見つける
んだ、絶対っ…」


そう自分に何度も言い聞かせた久志
まるで呪文、暗示のように
何度も何度も…


久志「…」

女性「痛った…」

久志「あ、すいません…」

女性「こっちこそ、考え事してて」

久志「…」


下を向いていたせいか
前を歩いていた女性とぶつかり
その衝撃で女性の財布や手帳などが地面
に広がった


女性「ゆきめ、何やってんの？」

ゆきめ「すぐ行くから」

久志「荷物…」

ゆきめ「すいません、ありがとうござい
ました」

久志「いえ…」


ゆきめと呼ばれた女性
清楚な雰囲気で笑顔が素敵だった
明の事、まだ吹っ切れてないはずなのに
ドキドキして…


久志「ゆきめさん…」


彼女の背中を目で追っていた


久志「…」


だけど後は追いかけなかった
今はまだ…


久志「…」

ゆきめ「…」

女性「ゆきめ？早く行くよ」

ゆきめ「今行く」



今はまだお互いの背中を見送るだけ
だけど二人が再び出会うのは
そう遠くない…


久志「あ…」

ゆきめ「あなた、あの時の」


未来のお話しだった


（終）