僕は君を連れてゆく
第13章 流される
大丈夫だよ、という智くん。
なんで、そんなに自信があるのかわからないけど
智くんがそう言うなら大丈夫なような気がしてしまう。
「いいんだよ。俺がシタんだよ…」
「でも、こういうのってやっぱりさ、好きな子とするもんじゃ…」
「いるの?好きな子?」
「いやぁ、それがいなくて…って、だからって智くんとなんておかしいだろっ!」
「どうして?俺、好きだよ。翔ちゃんのこと。」
「俺だって好きだよ。智くんのこと…」
「なら、いいじゃん。ね?」
いいのかな…
そうして、俺に顔を近づけてきた。
そうだ、キスだってしてなかった。
俺は目を閉じた。
チュッと重なった唇。
震えていたのは、俺なのか、智くんなのか。
目を開けたら智くんが俺を見ていた。
「キス…もう一回してよ…」
「ンフフ。うん。」
もう一度、重ねられた唇。
智くんが俺の唇を舐めた。
驚いて体を引こうとしたら後頭部に手が回って
押さえつけられて、智くんの舌が入ってきた。
クチュと音がして歯列をなぞられて…
「鼻で息して。もっと、舌だしてよ…」
言われた通りにした。
キスってこんなに気持ちいいの?
チュッと離れた唇。
俺と智くんの間に銀色の雫が伝った。
「翔ちゃん、エロっ…」