僕は君を連れてゆく
第26章 錯覚してしまいそう
「先、行くね‼」
と、赤い顔をしたまま大野さんは早足に俺達の前を歩いて行く。
「待ってよぉ~じゃぁ、あとでね?」
翔さんは大野さんを追って行ってしまった。
なんなんだ?
「ただの幼なじみじゃないってことなんだよね?」
「あとで、聞いてやろ?」
相葉くんが俺の頭をポンポンってやった。
きゃーーーーっ!!!!
ポンポンされたっ!
皆さん、今、俺、恋人に頭、ポンポンされましたよ!
「もう一回!」
「ん?」
「いや、なんでもない…」
ダメだ…
心の声が漏れてきてる…
だって、だって…
ポンポンって…
「グヘヘ」
「なに?具合悪いの?」
ヤバい、ヤバい!
「なんでも、ないっ!」
「そっかぁ!あっ!時間、やばっ!」
「行こう!」
えっ?
行こう、と相葉くんが俺に手を差し出した。
これって…まさか…
「ニノ?行こう!」
手を
相葉くんが手を
相葉くんが手を
しつこいけど
相葉くんが手を俺に。
俺も手を差し出したらギュッって握ってくれた。
かーーーみーーーさーーーまーーー♡
あーーーりーーーがーーーとーーー♡
俺の手をつなぎたい大作戦は相葉くんによって
叶えられた。
占い2位でよかった…
だって、1位になったら…
もっと、素敵なことが起こるってことだよね?
あぁ、どうしよ…
走ってるからドキドキしてるの?
違う、そうじゃない。
だって、だって
俺たちの影、
手を繋いでる。
素晴らしいこの青空はやっぱり、
俺たちのためにあったんだ。
そうだよね?
「ニノっ、大丈夫?」
「うんっ!」
「じゃぁ、スピードあげるよ?」
さらにグッと引き寄せられて。
あぁ、幸せ。
世界は俺たちのためにあるんだと錯覚してしまいそう…
手をつないだこの、感触。
忘れたくない。
俺はもう一度、つないでる手に力をいれた。
大好き。
相葉くん。
ーつづくー
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