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喫茶くろねこ

第15章 佑太の日常と、レオンと虎太郎。

『親子とは言ってないぞ』
(へ?だって、先代のお孫さんなんでしょ?だったら親子でしょ?)

『先代マスターから見て娘と孫でも、その二人が親子とは限らないぞ。おばと姪、って関係かもしれないだろ?』
(え、そうなんですか?)

『いや、親子だが』
(結局親子なんじゃないですか!)

『まぁ、今回の場合はたまたま親子だったけどな。親子って言ってないのに他の情報から断定的に親子って決めつけるのは、間違いのもとだぞ』
(はぁ…)

『まぁ、不確定なことを断片的な情報で思い込むのは良くないぞ、って話だ』

…マスターの発言がなんだか猫らしくない…。

(あんまり理屈っぽいと人に嫌われますよ)
『別に好かれたくて言ってるわけじゃないよ。思ったことを思ったまま言ってるだけだ』

…いや、思ったことをそのまま言うってのはある意味猫らしいのか?

『猫らしさってそもそもなんだ。そんなものはないよ。どんな猫でも、その猫その猫に”その猫らしさ”てのがあるんだよ』

…話しかけたつもりはないのにまたマスターに思考を読まれた。久々だ。
でも、確かにそうかもな、と思った。人間もそうだろう。
「男らしさ」とか「女らしさ」でひとくくりにするんじゃなくて、いろんな男がいて、いろんな女がいるんだろう。

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