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喫茶くろねこ

第19章 楽しく、猫ライフ

三食付き・住み込みでのアルバイトしている僕にとって『喫茶くろねこ』は、住み処であり、バイト先であり、ご飯処でもある。だから当然、生活の中で大きなウェイトを占める。

だけど……

『生活の一部に組み込まれているのは仕方がない。ただし、この店だけを自分の中の全てにはするな』

とマスターに言われた。

相変わらず説教臭い猫だし、たまに何が言いたいのかわかんないときもあるが、いろいろ、考えさせられるキッカケになったりもする。

ただ、果たして本当に全てマスターがしゃべっているんだろうか、と最近思うようになった。

もちろん、マスターは喋る猫だ。だけど、虎太郎みたいに直接声に出して喋ってるわけじゃなく、あくまでテレパシーでの会話。中には、マスターから言われているつもりになってるだけで、本当は自分の中で無意識に考えてることが、マスターからの言葉っぽく脳内変換されていたりってこともあるんじゃないだろうか、なんて、ちょっと思ったりもしている。

その思いを、美佳さんにメールで打ち明けたら、即電話がかかってきて

「どっちでもいんじゃない?大事なのは、自分にとってプラスになる言葉なら参考にして、そうじゃないなら聞き流すってことよ」

と言われた。ちなみに美佳さんとは、公園で一緒に猫集会を眺めたあの日から、連絡先を交換して、たまに電話やメールで連絡を取り合ったりしている。

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