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喫茶くろねこ

第4章 内見(ないけん)

2階の僕の(借りる予定の)部屋と、猫部屋を見学した後、また喫茶店に戻ろうと下へ降りると、ドアのところで店から出てきた女子高生らしき二人組の制服の子とすれ違った。

一人は下を向いて泣いているようで、もう一人がその子を必死に慰めていた。大丈夫かな。

「…あの子たち、どうしたの?」

店に入ってマスターと佐々木さんに聞いてみる。

『恋愛占いだ』

答えたのはマスターだった。

「好きな子がいるから、彼に告白してうまくいくか占ってほしいって話だったんだけど、どうもあんまり見込みないってマスターがさ…」

佐々木さんが補足してくれる。

『相手の男の心を遠隔テレパシーで読んでみたのだ。彼は泣いてる子を慰めてた、もう一人の彼女のことが好きなようだ』

「まさか!それ、あの子たちに言っちゃったの?」
「いや、さすがにそれは言えなかった。だってさ、気まずいじゃないか」

そうか。普通の人はマスターのテレパシーを受信できないから佐々木さんが通訳して伝えたのか…。

『後でトラブルになる元だから、伝えろって私は言ったんだがね』

「でもそんな、悪い結果をそのまま話して泣かせなくても…」
「いい結果も悪い結果も濁さずきちんと伝える。無理な時に変な期待はさせない。ここの占いが人気の理由だよ」

「…占いって、未来予知じゃなくて、テレパシーで相手の心を読んでたんですね」

『そればっかりじゃない。やり方はいろいろある』





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