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喫茶くろねこ

第8章 先代マスター、ヒロさん

「話終わった?終わったんなら猫部屋の掃除に行くよ!」

中井さんに急かされ、席を立つ。
キッチンの奥から中階段を上がり、猫部屋へ。

その日は2匹に飼い主が見つかって巣立っていったが、入れ替わりに3匹新たな捨て猫が保護されていて、猫の数は増えていた。

猫が増えすぎると世話が追いつかなくなるので、保護する猫は最大で9匹まで、というのがここの決まりだ。ただ、ほとんど毎日のように猫達がやってくる。
そして、毎日のように里親希望者が店を訪れる。
「ヒロさんの時代から、猫の殺処分ゼロプロジェクトに参加しているのよ」

複数の捨て猫保護団体による共同プロジェクトらしい。

「ヒロさんて、どんな方だったんですか?」

「…猫好きのお人好し…かな。実はね、私はもともと、同じプロジェクトに参加している別の団体で働いていたのよ。ここの喫茶店にはスタッフとしてじゃなくて、客として通っていたの。こっちに来たのは、今のマスターに変わってからよ」

「へー」

「へー、って自分から聞いておいて興味のなさそうな返事ね?!そんなんじゃモテないわよ?」

「もっ…?!中井さんまで?!」

「冗談よ、冗談。マスターがからかってるのが聞こえてきてね。ま、頑張って初彼女が出来るといいわね。さ、仕事仕事!」

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