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委員長はエッチでした

第1章 委員長





「……えっ、藤島さん?」



土の踏む足音
傍にある木が揺れて
聞き覚えのある
いい声に視線を向けて
一瞬
固まってしまった。



「げっ、
黒崎……っ」



コンビニの袋を抱えて
普段着の姿で
ふと
何気なく
通りかかったのか
黒崎と出会ってしまった。



「こんな所で何をして……」



眉をひそめる黒崎の視線
あたしの飲み干した
空のビール缶を見ている。



「えっと、酒盛り?」



開き直り
缶ビール片手にへらりと笑った。



「黒崎もこっち座りなさいよ〜」



あたしの隣のベンチを
ぺしりと叩くと
黒崎が困ったように
前髪をくしゃりとする。



「……こんな場所で、
この辺、夜は良く不審者が現れるから、危ないよ、この前も中学生が襲われたって……」



「えっ、うそっ?
あたし毎日ここにいるんだけど?
何にもなかったよ?」



「……えっと、毎日……?」



また眉をひそめる
メガネの奥がキラリと光って見えて
また
困ったように
髪をくしゃりとする。



「それは……むしろ、良く今まで無事で……
何もなく済んだって言うか……」



「別に大丈夫だよ〜
この公園すきだし、息抜きなんだよねっ」



別に処女でもないし
家にいるよりは
マシだし。



そう思って
笑った。



「大丈夫ってそんな……
藤島さんはどうしてこんな事を……」



「だから、息抜きだってばっ、いつもはこんなに、飲まないんだけどね、この時間は家に居たくないっていうか〜」



また
新しい缶ビールを開けて
口を付けた。



「……じゃあ
良かったら……家に来る?
少なくともここよりは……安全だと思うから……」



カァッ
また
赤い顔をして
小声で呟く黒崎。



ちらりとあたしを見て
反応を伺ってる。



「乗った!」



立ち上がり
黒崎の手を引いて
また
近くのコンビニに戻る。



「あ……の、どこに?
家はこっちなんだけど……?
っていうか、手を……」



戸惑う黒崎の顔は
相変わらず赤くて

にこにこ笑いながら
手を繋いで歩く。



「決まってるじゃないっ、買い出しっ、おつまみとお酒だよ〜」

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