委員長はエッチでした
第14章 命懸けで愛されて
普通のことが
結城さんには通用しないの?
あたしをじっと見つめる
結城さんの冷たい瞳が
鋭く光る。
燃えるような苛立ちを
目の当たりにして
ゾクリとした。
「……あいつが好きだと言う、彩香の気持ちは否定するよ。そんなの許さない……体だけじゃなく、気持ちまでだなんて、許せる訳ないだろう?絶対認められない」
返す言葉がみあたらない。
あたしの気持ちを
頑として拒否する
結城さんの強い視線に
おののいてしまう。
あたしの気持ちは
無視するという訳なんだ。
そんなの関係なく
邪魔な人間もはねのけて
誰にも邪魔をされない場所に
あたしを連れてきて
鳥籠のようにして
そんな愛し方しか出来ないの?
後の事も知らないってこと?
どうしてそんなに
自分勝手に出来るの?
亮だって
翔矢だって
……お母さんだって
きっとみんな、心配するのに。
目頭がふいに熱くなる。
色んな感情が
嵐のようにあたしの心を支配して
心臓が早鐘を打つ。
訳も分からずに手が震えて
呼吸が苦しくなった。
「……彩香?……泣くなよ、悲しいのはいっときだけだ。時期に忘れられる。
俺が泣かさないから……ずっと守るから……」
知らないうちに
泣いていたのか
涙が後からどんどん流れて
結城さんに優しく抱きしめられた。
ふわりとした体温は
ちゃんと暖かい。
綺麗な顔が近付き
涙を拭うように
何度もキスをされる。
ちゃんと優しいのに……。
この人は……悲しい人だ。
優しいのに
どこかおかしい。
それに気付かないから
くやしい。
結城さんの
狂った部分は
家庭環境がそうさせたのか
それともあたしのせいなのか
分からないけど。
くやしくて
悲しくて
腹正しくて
憎らしい……。
どうしていつもいつも
この人の胸の中に
抱きしめられるんだろう。
この腕に何度も抱かれて
数え切れない夜を過ごしたのに。
また、あたしは逃げ切れずに
この人の胸に抱きしめられる。
それが……
とてつもなく悲しい……。