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委員長はエッチでした

第10章 上書き





また亮との
距離が縮まったんだと
思っていたのは
あたしだけ
だったみたい。



何度も繋がり合って
最高の夜を
亮の部屋で過ごして
また
家まで送ってくれた。




家の前で
別れる時に
自分から
亮にキスをした。



「……消毒」



翔矢にキスをされて
それを思い出して
呟いたのが
いけなかった。



あたしってば
馬鹿だよね?




「消毒って…何?」



一瞬
固まって
じっと見つめられた。



そうだった
亮に
言わなきゃ
翔矢にキスをされた事
啓介にも……

気にしてるような事
言ってたから
ちゃんと
言わなきゃ



そう思って
口を開きかけて



「おや、お帰り〜
なにやってんだい、中にお入り?」




おばあちゃんが
玄関から
現れた。




「いえっ…、俺はもう…帰ります…、
また、明日、彩香さん……っ」



中に入って貰って
話をしても
良かったのに



なんだか
慌ただしい様子で
帰って行く亮。



よそよそしい態度。
あたしの目を
ちゃんと見ずに
帰って行く。




ちゃんと
話をしたかったのに

どうして?



聞きたくないの?
気にならないの?



勘違い
してはない?




浮かれていた
自分の気持ちが
急にしぼんだ。




お母さんからの
ラインの
着信が鳴る。



先に家に入って行く
おばあちゃん
あたしも家に
入ろうとして

ケータイを開いた。




『結城があんたの住む家の方角にいる。
あの家は知られちゃいけないから、
会わないように、気をつけて?』



おばあちゃんは
先に家に入って行った。
勿論
あたしが
すぐに家に入ると
思ってるから

玄関の開き戸も
開けた状態。



この家に
あたしが
住んでることが
ばれちゃあ
いけない。



亮とは
今別れたばかりだし
どうする?

さっさと
家に入れば良かったのに
思わず
きょろきょろと
回りを見渡してしまった。




ひとけのない
道の真ん中で
ハッとしてしまう。



あたしは
視力がいいから
前の方を
歩いてる
その
シルエットだけで

分かってしまうの。




結城さんだ



どうする?
反対方向に
帰った亮を追いかける?
今なら
そんなに
遠くもない。



一瞬悩んだけど
この距離だし

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