委員長はエッチでした
第12章 真夜中のおしおき
結城side
普通じゃない家庭で育ち
普通じゃないとは
気付いてなかった。
夜になれば
仕事に行く両親
必要最低限の
食べ物を
適当に置いて
子供は置き去りにされる。
朝になっても
帰って来ない時もあった。
お腹を空かせたキョウダイが
争いながら
食べ物を奪い合う
野性の小動物みたいで
滑稽だと
他人事みたいに
ただ見ていた。
どうでもいい
いっその事
このまま食べずにいたら
どうなるというのか
自分の体の限界を
試してみたかった。
例えそれで
死んでしまっても
構わないとさえ
思っていた。
どうせ
誰も悲しまない。
泣けば怒られ
眠れないからと
殴られる事もあった。
俺はいつも
この家では
いないふりをしていた。
いないふり
死んだふり。
両親は子供の前でも
酔っ払って
堂々と
セックスをしていた。
獣の体のぶつかり合いみたいで
子供の頃は
不思議に思っていた。
キョウダイとは
仲が悪かった
みんな自分の事しか
考えてない。
まるで
弱肉強食
取ったり取られたり
いつも騒がしくて
黙らせるには
殴るのが
一番良くて
自分も両親と
一緒なんだと
吐き気がした。
逃げ出したかった
どこでもいい
この家じゃないどこかに
俺を連れ出して欲しい
誰か
誰でもいいから
そうして俺を
愛して欲しい……。
願ったのは
それだけ……。
そんな時に
家に彩香がやって来た。
彩香は不思議な
子供だった。
最初は無関心で
正直
面倒だと思っていたのに
俺達キョウダイの仲に
自然に
いささか
強引に踏み込んで行く。
仲の悪いキョウダイの
間に入り
無理矢理でも
仲良くさせようとした。
それどころか
いつの間にか仕切りだして
ルールというモノを
決めだしたのだ。
そのルールは
彩香の家でのルールであって
それを通そうと
頑張る彩香に
無駄なのにと
思っていたのに。
いつの間にか
他のキョウダイは
彩香と仲良くなり
それに気付いた瞬間
無性に腹が立った。