いとしいとしというこころ
第13章 この胸のときめきを
時々振り返ると立ち止まる。
俺の横を歩こうとしないで少し後ろを歩く雅にい。
俺のことを見守る形で。
隣りを歩かないのに少し腹が立って、
見守ってくれることに少し嬉しくなって。
…いつもそう。
いろんな感情がごちゃ混ぜに押し寄せてくる。
俺はきっと雅にいにやきもきしながら生きていくんだ。
生きていくなんて、大げさかな。
立ち止まって雅にいがすぐ後ろに来た時に話しかけた。
「雅にい…」
「うん…?」
「すきだよ。」
「……」
どうしてかわからないけど言葉が口から出た。
勝手にこぼれ落ちた。
いつもと同じだんまりな雅にいに、俺もまたいつもと同じように泣きたくなる。