いとしいとしというこころ
第4章 和くんの過去
雅にいと呼ばれるのにも慣れた頃。
俺んちから急いで和くんの家へと急ぐ夜道。
チャリンコで二人乗り…とか思ったけどここでお巡りさんにでも捕まったらそれこそ大変。
急がば回れ
ただひたすら黙々と歩いた。
少し早足になってもうすぐ翔ちゃんち…って思ってたら前から翔ちゃんが歩いて来る。
「雅紀!和!」
「ごめんね、翔ちゃん!」
「翔にい、ごめんね!」
ちょっと息が上がり喋るのが、しんどい。
和くんもそうだろう。
「いいよ。
心配したけどなー。
和?母ちゃんが中で待ってるから早く顔見せてやって。
俺、ちょっと雅紀送るわ。」
「うん。
あ、雅にい?
またね?」
にこっと笑って和くんが玄関から中へ消えた。