いとしいとしというこころ
第4章 和くんの過去
翔ちゃんが逆に俺を送ると言って来た道を帰る。
途中の自販機でコーヒーを買ってくれて渡されたそれが俺の手を温めてくれる。
「なんか、悪かったな。」
「ううん。俺こそ。」
…
「お前も違和感?なんか変だなー、って思うとこあるだろ?」
翔ちゃんが難しそうな顔をしたかと思うと苦笑い。
「…まあ、ね。
ちょっと過保護?かなって思うよね。
子どもを預かってる身内だとしても。」
「だよな。」
ははは、って乾いた笑いをして続けられた言葉にショックを受けた。
「雅紀には話そうと思ってたんだ。
和さ、ちょっとあってさ。
前に襲われたことがあるんだよ。」
…え……
「…襲われた…
って?」
心臓がバクバク言うのを落ち着かせるように動揺を隠してできるだけ低く小さい声で訊いた。