いとしいとしというこころ
第8章 友達の弟
また寝てたみたい。
いま一体何時なんだろう。
まぶたを開けて携帯を手に取る。
そこにあった和くんからの何通ものメールや着信に涙が込み上げてくる。
いい加減、返信しないと。
心配かけてる。
メールに返信する文字を考えてると家のチャイムが鳴った。
ダルいし居留守で…
そう決めて動かずにいたら、かすかに声が聞こえる。
「雅にい?
いる?」
和くんだ。
ガバッと起きたけど足が動かない。
会いたいけど会いたくない。
その後チャイムは鳴ることなく、和くんの声もすることはなかった。
タタタッ
やっぱり会わないと。
会いたい。
玄関に向かって急いでドアを開けてもそこには和くんの姿はなくて。
表に出ると帰る方向に進んでいた和くんの後ろ姿。
ドアの音に気づいたのかこちらに振り向いた。