いとしいとしというこころ
第9章 できた溝
「いい天気だなー。」
翔にいが窓の外に視線を移す。
「そうだねー。」
気持ちのいい爽やかな晴天。
それとは反比例のどんよりした俺の心の中。
潤にいの家に着いてハザードを出して停まるとほどなくして潤にいが出てきた。
「ごめん、待った?」
「ううん、今メールしようかと思ったところ。」
俺が振り向きながら答えるとすかさず翔にいに、チャチャを入れる潤にい。
「お?翔くんの運転ドキドキするなー。」
「失礼だな!
和、全然問題ないよなぁ?」
「うん。
意外と上手だよ。」
「意外とってなんだよ!」
みんなであははと笑い、後部座席に乗り込んだ潤にいがドアを閉めると次の場所へ向かうべく車を発進させた。
すぐに雅にいの家付近に着いて、見えてきたのはもう外に出て車に気づいた二人が手を振る姿。