その瞳は誰を見てるの?
第5章 その瞳は誰を見てるの? 5
~S side~
淡々と仕事をこなしていく。
「顔色良くないですね…大丈夫ですか?」
と、やたらと声をかけられるが、そんなことどうでもいい。
「お気遣いありがとう。心配ないよ。」
こんな言葉を、何度となく返した。
今日はもう上がり。
潤にメールしておくか。
携帯に手を伸ばすのと同時に、楽屋のドアをノックする音。
にのが顔を出した。
「翔さん?」
「お、にの、これからか?」
「うん。
あのさ…マジで翔さん、大丈夫なの?」
心配そうに見つめられた。
「何が?」
「体…ってか、心…ってか、よくわかんないけどおかしいでしょ?ここ数日の翔さん…」
「心身共に絶好調~大丈夫だよ!」
……やばっ……にの……油断してた……
空元気ってバレバレになりそうな返事をする。
「なんかさ、調子悪そうなんだけど、やたらと幸せそうな顔してる時もあって…マジで翔さん、よくわかんない人になってる。
何があったの?」
「ははっ、何にもねぇよ。
ありがとな、にの…心配かけたな。それよか、時間じゃないのか?頑張れよ。」
「ありがと。ねぇ…潤くんとはうまくいってる?」
「ああ、うまくいってる……」
「そうだよね!潤くん幸せそうだもんね!
もっともっと大切にしてあげてよね?翔さん…」
「当たり前だろ…心配すんな。」
「よし!じゃあね~お疲れ様~!」
ふぅ………
あいつ、ナニ、知ってる……?