欲望ベイベー
第15章 好きすぎて。
A side
S「おい、雅紀!追いかけなくていいのか?」
翔ちゃんが俺の肩を揺さぶる。
M「カズ・・・スマホ持ってないんだろ。
ちゃんと真っ直ぐ家に帰るかな・・・」
松潤が心配そうに顔を顰める。
そうだ、あいつスマホ持ってないんだ。
こんな夜中ににのみたいな可愛い子がフラフラしてたら危険だ。
S「おい!聞いてんのか?!」
A「・・・聞いてる。」
M「どうしたんだよ。」
S「ああもう!俺が追いかける!」
M「よろしく。」
上着を引っ掴んでバタバタと出て行った翔ちゃんをボンヤリ見送る。
なんで、俺動けないんだろう。
にのに投げつけられた鍵がチャリ、と音を立てた。
要らないと言って捨てられてしまった可哀想な鍵。
M「ホント、どうしたの?
らしくないように思うけど。」
A「・・・らしくない?」
M「うん。カズの手を離すなんて、らしくないよ。」
そうだな。
確かに、今までずっとにのを手離すものかと必死だった。
M「鍵返されたの、ショックだった?」
俺の手の中の鍵を見つめて、気まずそうにポツリと問う。
A「どうかな・・・うん、ちょっとショックだったけど。」
でも。
A「俺、性格悪くなったのかな。」
M「え?」
A「にのって俺の事超好きだよね。」
俺が構うと、いつも嬉しそうにふわふわの笑顔で頬を染めるにの。