欲望ベイベー
第18章 それぞれの想い。
A side
A「・・・・・。」
すごく短い夢だったのに。
明らかに寝不足なのに。
この幸福感はなんだろう・・・
時計を見れば、まだ起きる時間には程遠い。
でも、完全に覚醒してしまって眠れる気がしなかった。
夢の中の教会で、幸せそうに笑うにのの姿が脳裏に焼き付いてる。
A「ハッ!!」
にのはウエディングドレスだったか?!
あれ?!覚えてない・・・!!
こんなにリアルに可愛い笑顔は覚えているのに!!
教会の壁の模様とかも覚えているのに!!
白っぽい服だったような気はするけど、ドレスだったかどうかはいくら考えてみても思い出せなかった。
A「なんて勿体無い・・・!!」
夢の中でなら、ウエディングドレス姿のにのを堪能できたハズなのに・・・
俺のバカーーーっ!!
N「んん・・・」
あ、ヤバイ。
隣で頭を抱えて悶絶していると、にのが鬱陶しそうに寝返りを打った。
起こしちゃうと申し訳ない。
A「・・・・・。」
ジッと寝顔を見つめていると、
夢の中のように、幸せいっぱいの笑顔にしてやりたいと心から思う。
こんなに愛おしく想ってる事を、にのはちゃんとわかってる?
にのにあんな顔をさせられるのは、この世でもあの世でも俺だけなんだよ。
もう、ウエディングドレスなんてどうでも良いや。
2人だけだって良い。
小さな教会で、結婚式を・・・
誰にも内緒の結婚式を、挙げようか。
俺の隣で、幸せいっぱいの顔で笑ってよ。
にのの左手をそっと取って、薬指に唇をつけた。