欲望ベイベー
第19章 末ズの憂鬱。
M side
部屋の隅にあるダンボールの箱を見て、深いため息が出る。
今日は帰りが遅くなった。
晩ご飯を食べるのはもう面倒だし、
さっさと風呂に入って休みたいのに・・・
N「なにコレ。引越しすんの?」
カズに捕まってしまった。
軽く飲んでいたらしいカズは俺の家になだれ込んできて、機嫌が良いのか悪いのか良く分からないテンションだ。
M「・・・衣替え的な?」
N「へぇ。」
ダンボール箱を横目で見ながら、カズがソファに座る俺の隣にきた。
ジトっと拗ねたような視線が居心地悪い。
M「なんだよ。」
N「・・・引越し、するんでしょ。
隠さなくて良いじゃん。」
M「はぁ?しねーよ。」
N「ウソだ。翔さんと暮らすんでしょ?」
M「んな予定無いって。」
N「・・・・・。」
ぷぅっと頬を膨らませて、涙目で俺を見上げるカズ。
こいつの親衛隊が見たら大盛り上がりするレベルの可愛さだ。
M「・・・ホントだよ。
同棲の話は進んで無い。」
N「でも潤くん次第でしょ?」
ソファの背もたれにドサっと体を預けて、なおも拗ねた口調で続ける。
N「ズルいよ・・・プロポーズも同棲も、潤くんのが早いなんて。
俺の方が片想い歴長いのに・・・
潤くんの方が愛されてる。」
M「・・・は?」
クッションをギュッと抱き締めて、ウルウルと瞳を揺らしはじめたので焦った。
M「おい泣くなよ?!」
N「泣かないもん!」
そう言ってクッションに顔を埋めてしまったカズ。
なんだよ、マジで何か落ち込んでんのか?
人の気も知らないで・・・
M「お前のがズルいよ。」
N「・・・え?」