欲望ベイベー
第2章 そばにいたい。
O「言えば良いじゃん。」
目の前には、呑気な顔してコーヒーを啜る大野さん。
N「言えないでしょ。」
前もこうやって相談したなぁ、なんて思いながら俺もコーヒーを飲む。
あの時はモーニングで、大野さんはずっと眠そうな顔をしていた。
今回は楽屋。
雑誌の取材で大野さんと2人での撮影だった。
やっぱり眠そうな顔をしながら、俺の話を面倒くさそうに聞いている。
N「こないだ、久しぶりに相葉さんとユックリご飯食べれたんだ。
なんか、幸せだなぁって・・・」
O「ああ、そう。」
N「同棲って考えた事ある?」
O「ねぇよ。」
だよね。
俺らみたいなアイドルが、彼女と同棲なんて出来るわけがない。
愚問だったな。
O「俺には向かねぇわ。
1人のが楽だもん。」
ああ、そもそも同棲がイヤなのか。
N「だよねぇ・・・
1人のが楽だよね。」
そうなんだよ。
俺だってどっちかというと大野さんタイプな訳で。
人に合わせるのが嫌いだし、家に物が増えるのも好きじゃない。
好きな時間に好きなように過ごせる方が楽に決まってる。
誰かと居るより、1人の時間の方が昔から好きだった。
俯いた俺を、ニヤリと笑って覗いてくる。
N「・・・なによ。」
O「良い顔してるなと思って。」
N「はぁ?」
俺、今だいぶしょぼくれた顔してると思うけど。
恋人と一緒に暮らしたいなんて、そんなうっとうしい悩みを抱えてんだぞ。
N「・・・はぁ。
1人の方が楽だったのに・・・
今は相葉さんと居る方が楽なんだ。
1人だとココが苦しいんだもん。」
胸をキュッと掴んでソファに倒れると、声をあげて笑い出した大野さん。
なんだよ。本気なのに。
O「拗ねんなよ。
バカにしてる訳じゃねぇって。」
N「むぅ。」
O「お前な、そんな表情よそでするなよ。」
N「・・・相葉さんみたいな事言わないでよ。」
O「お前見てたら相葉ちゃんの苦労が良く分かるわ・・・」