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欲望ベイベー

第9章 不機嫌。




エントランスに入って、深呼吸をする。
暗証番号を押してロックを解除すると、相葉さんの部屋の前まで震える足で進んだ。



目の前まで来て、また逃げ出したくなる。



だって・・・




あの店からいなくなっていたのは、相葉さんだけじゃなかった。
隣に座ってた女の子も、いなかったんだよ。



もしかしたら、あの子と・・・



そう考えると、心臓がズキズキと異常な程痛くなった。



N「ここまで来たんだ、覚悟決めろよ・・・」



小さく呟いて、ぎゅっと目を瞑りながらインターホンを鳴らした。



N「・・・・・・・。」



居ない・・・のかな。
もう一度鳴らそうとした時、玄関のドアが開いて思わずビビる。



N「あ、相葉さん、」



A「・・・ビックリした。」



N「ごめん、いきなり・・・」



A「とりあえず入れば。」



N「・・・・・」



促されて中に入ったけど。
覚悟を決めたはずなのに、既に泣きそうだ。



迎え入れてくれた相葉さんは、何を考えてるのか分からない。
さっきみたいに明らかに怒ってる感じを出してはいないけど、ニコリともしない。



N「・・・1人?」



A「そうだけど。」



あの子は一緒じゃ無いのか?
キョロキョロとする俺を見て、小さく息を吐いた相葉さんがソファにドサッと座った。



・・・隣座っていいのかな。



そろりとソファに近付いて、少し間を空けてちょこんと座る。
なんでこんな緊張しなきゃいけないんだよ・・・



そっと隣の様子を伺えば、相葉さんが真っ直ぐに俺を見ていた。





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