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誰も見ないで

第5章 好きになんて(サイドストーリー)


俺は「失礼します」と言って扉を開ける

中に入ってもう1度クラスとノートを持ってきた旨を言うけど、今度は返事も帰って来ず

どころか数学教師の姿さえ見えない


持って来させといてこれか


新しい嫌がらせの形かな、と理解して数学教師のデスクの上にノートを置く

そしてそのまま教室を出ようと振り返った


「!?」


すると、気づかないうちに俺のすぐ後ろに数学教師が立っていた

けど驚いたのも束の間

そいつに掴まれた手を強く引かれて、俺は床に押し倒された


「……っぐ」


背中に鈍い衝撃が走る

でもその痛みを訴える暇もなく、数学教師が俺の襟元に顔を寄せてきた


「スーーー……ハーーー……あぁ……やっぱりお前はいい匂いがする……」
「……っ」


俺は全身に鳥肌が立つのを感じた


なんだ、これ
逃げなきゃ


そうは思うけど、両手首は上に乗ってる数学教師にガッチリ掴まれたまま床に縫い付けられている


どうしよう
どうしよう

どうーーー


「!!!!」
「ははは……汗かいてるのか……少ししょっぱいな……」


考えてる途中で首筋を少し舐められて、思考も何もかもぶっ飛ぶ


「やめろ!!!」


そこで漸く抵抗の声が出た

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