誰も見ないで
第20章 誰も見せない
すると瑞稀君の顔がふいに動いて俺の唇を奪った
「!」
そしてその後向けられた顔は
帰って来てから
いや、向こうにいる間もずっと見たいと思っていた笑顔
「湊斗君のこと、もう離さないからね」
けどその顔は強がりだったのか、すぐにまたくしゃ、と歪んでしまう
「だから……ずっと……っ、一緒に……」
瑞稀君すごく我慢して来たよね
俺も、4年間短いようですごく長かったよ
「うん。ずっと一緒にいるよ」
ぎゅ、と抱き締めた腕の中にある存在がこんなに愛しいなんて
もうきっと瑞稀君以外では感じられないから
だから
「離さないよ。俺が帰ってきたからには、もう絶対、俺以外の誰も見せないから」
俺の言葉に、瑞稀君の顔がまた笑顔に変わった
その顔があまりにかわいくてちゅ、とキスをする
顔を離して一瞬見つめ合うと
また吸い寄せられるようにキスをして
今度はちゃんと瑞稀君のことを感じられるような甘いキスを
ゆっくりと離れると
瑞稀君の両手が俺の顔に添えられる
そして
「僕は高校1年生の時から7年もずっとずっと、きっとこれからも、湊斗君のことしか見てないよ」
最上級にかわいい顔で俺に笑った