誰も見ないで
第3章 好き
もうちょっとカッコ良く
ってまで素直には言えなかったけど本音を言うと
「いえ、すごくカッコよかったです!」
と紺野君に言って貰えたから、思わず嬉しくて笑ってしまった
その両手のグーは何?
「ふふふ……」
「ど、どうして笑うんですか」
「だって、紺野君かわいいんだもん」
あ、かわいいって男に言われても嬉しくないと思って今まで言わなかったのに
つい
「かっ……かわいく……ないです……」
するとやっぱり嫌だったみたいで紺野君は俯いてしまった
小さいのに更に小さくなってるその姿もまたかわいいんだけど、追い打ちかけるようなこと出来なくて
俺はただ
「本当にそう思ったんだけど、嬉しくないよね。ごめんね」
と謝った
そんなことを話してたら保健室にはすぐに到着
「失礼します。体育の授業で突き指しちゃったんですけど」
「あらあら、痛そうね」
お母さんぐらいの年代の保険医さんに言うとすぐに湿布と包帯を出してくれる
「右利きかしら?」
「はい」
「それじゃま曲げないようにこれもね」
そう言われて包帯を巻く前に指が曲がらないように固定する板みたいなものを添えられた