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いらっしゃいませ……

第1章 いらっしゃいませ……

「……いちまい足りないぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

「ひぃぃぃぃぃ!!」

僕はとっさに目を瞑った。
怒り狂った女の顔がこっちを見たような気がしたからだ。

はぁはぁ、と女の呼吸音がする。
僕はもう怖くてその場に立ち尽くすしかなかった。

「ふわぁぁぁぁ、も~岩ちゃん、棒金崩してっていつも言ってるじゃないのぉ~」

「………す、すみません、店長………」

!?

目を開けると、あくびをしながらハゲおやじが奥の部屋から出てきて、女を注意していた。

「あら、ごめんなさいねぇ。この子新人さんなのよ。だから人の少ない深夜に入ってもらってるの。やだ岩ちゃん、おでこから血が出てるじゃない! 全く、ロックバンドやってるからって、すぐにヘドバンするのやめてくれる?」

おネエが入った話し方をするハゲおやじはそう言うと、また奥の部屋に消えていった。

「お、お、お待たせしました、お客様ぁ! 120円のお釣りでございますです…!」

女はよく見たら男だった。
ふざけんなこのチン○×▲……



(おわり)

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