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ファンタジー短編集

第4章 何より大切なもの

「ん? 何が?」

「ん、もう、仕事よ。仕事」

「あぁ。大丈夫、大丈夫。余裕、余裕。心配すんなっ!」

 なんて強がってみたものの、最近の疲れは半端ない。平日は仕事が終わり、帰ってきて、お風呂とご飯を済ますと寝てしまう。休日も昼まで寝て、家でのんびりすることが多い。そんな生活をしていたらエリーが心配するのも無理はない。

「ならいいんだけど……だけど、シン、分かってる?」

「何が?」

「この世界の仕組み。掟」

「あぁ、魔法を使えなくなったら人間界に飛ばされる。それを拒否るなら“死”だろ?」

「そう、それよ。力の一定量を超えたら。そう考えると不安で仕方ないのよ」

 エリーは今にも泣き出しそうな顔をしている。

「大丈夫だよ。俺はエリーを一人になんてしない。絶対な」

「シン……」

 俺はエリーと今日した約束を守る。絶対だ。

「さぁて、だからほら、そんな顔すんなって。楽しく笑顔で遊ぼうぜっ!」

「うんっ!」

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