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ファンタジー短編集

第4章 何より大切なもの

 それから何ヶ月、仕事の要領は掴めてきた。けれど相変わらずの疲労感。今日は山賊を討伐するというもの。

「お前の相手は俺だっ!」

 小さな身長に上下緑の服を着た少年が叫んだ。

「ガキ相手なら負けねぇ」

 俺は杖を取り出すと呪文を唱えた。少年は素早く技を返してくる。

「ガキじゃねぇえぇぇぇぇー!」

「くそっ」

「どうした? 威勢の割りに弱いぞ」

「うっせぇ。トドメだ!」

「っ……くぁっ」

 少年はうめき声を上げると倒れた。

「ふぅ……今回は危なかった。しかし、何でこんな奴に。それほど、力が弱っているってことか」

 今日みたいなことが続いたある日、俺は倒れた。目が覚めると病院で。医者にはこのままの生活を続けていると間違いなく魔法が使えなくなると言われた。

「だから、あの時、言ったのに」

 涙をぽろぽろ流したエリーが目の前にいる。

「ごめんな、心配かけて」

「いいよ」

 エリーはそれ以上、何も言わなかった。

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