かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第28章 BLUE BIRD
目頭を押さえて
俺は小走りで自販機のある
団らんスペースに急いだ
そこで・・・最悪なヤツに会う
それも・・・二人
ヒソヒソ…
『和樹…一体どうするのよ?!』
『・・・』
医者の説明でも聞いたのか
仮にも見舞いにでも来たのか
テーブルを挟んで話し込んでる
あのクズ野郎・・・と、その母親
『しかも、ベランダで掃除してて
脚立から足を滑らせて転んだですって!?
まったく…~~あの子らしいわね
鈍くさくて、みっともない』
〃そういう事〃に…したんだな
それは見事に…
『それはそうと…どうするの和樹?!』
『今……考えてるから』
『かろうじて
一生寝たきりは避けられた?!
冗談じゃありませんよ!?
もう一生歩けない嫁なんて…っ
何の役にも立たないじゃないの!
お荷物以外の何者でも…』
『母さん……声が大きいよ』
『・・・』
〃・・・〃
他人(ひと)が…聞いてるなんて
思ってもみないババアが
醜態を晒していた
『まったく…天は見ているものね』
『……』
『・・・』
〃・・・?〃
『バチが当たったのよ・・・あの女は』
『……』
『不倫なんかするから・・・』
『・・・っ』
〃・・・!!〃
ギリッ・・・
奥歯が砕けそうな程
歯を食いしばっている俺がいた
『いっそのこと…
目を覚まさなければよかったのに・・・』
〃・・・っ〃