かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第6章 マリアの日記・・・
自分より弱い者を…力で押さえつけて
一方的に殴る蹴る…
泣いて許しを請う俺の母を
引きずり回すわ
それこそ外に放り出すわ・・・
最低の……クズ亭主
完璧なまでのクズ男…
クソ親父だった。
親父だなんて…思ってない。
男としても心底
本当に軽蔑している。
残念ながら
俺にはそんなクズ親父の
記憶がある。
一度だけ・・・
どうしても耐えらんなくて俺・・・
一度だけ
止めに入ったことがあったけど
ガキだった俺が
親父に敵うわけもなくてさ
親父が俺に
酒の瓶を振り上げてきたんだよ
せめて俺が
せめて中坊……くらいに
デカくなってたらな
俺は母親の腕に
すっぽり入っちまうくらいの
ガキだったから
飛び出してったはいいけど火に油…
結局、母親が俺を庇って
必死に……庇って
俺は母親の腕の中にいた。
親父の暴力が止むまで
そこで……守られていた。
悔しい気持ちと
母親に、わりぃことしたな…って
罪悪感とで、ごちゃごちゃだった。
それからはずっと
妹を抱っこして〃かくれんぼ〃
自分の耳を塞ぐ代わりに
目を閉じて
〃音〃が止んだら
妹を寝かせて
こっそりと下に降りるんだ。
ボロボロで座り込んでる
母親の元に。
『おかあさん…』
背を向ける母親の
背中を黙ってさすってた。
声をかける俺に
母親は・・・絶対に
振り向かないんだけどさ
殴られた顔を
見せないんだけどさ
いつも明るい声で言うんだよ
『こわかったね、ごめんね』
『ユウくん、ありがとね』
『いつもありがとうね。えらかったね』
って
妹を連れて隠れる俺を
ただ褒めてくれたんだ。
多分……絶対
泣いてんだけど
それを俺に見せずに
俺を抱きしめてさ
『お兄ちゃん、えらかったね』
ってさ。
俺・・・早くデカくなりたかった。
この腕におさまらないように
早く…この腕から
はみ出るくらい
デカくなって
そしたら
母ちゃんも妹も
ちゃんと守ってやれんのにな……って。
一方的に殴る蹴る…
泣いて許しを請う俺の母を
引きずり回すわ
それこそ外に放り出すわ・・・
最低の……クズ亭主
完璧なまでのクズ男…
クソ親父だった。
親父だなんて…思ってない。
男としても心底
本当に軽蔑している。
残念ながら
俺にはそんなクズ親父の
記憶がある。
一度だけ・・・
どうしても耐えらんなくて俺・・・
一度だけ
止めに入ったことがあったけど
ガキだった俺が
親父に敵うわけもなくてさ
親父が俺に
酒の瓶を振り上げてきたんだよ
せめて俺が
せめて中坊……くらいに
デカくなってたらな
俺は母親の腕に
すっぽり入っちまうくらいの
ガキだったから
飛び出してったはいいけど火に油…
結局、母親が俺を庇って
必死に……庇って
俺は母親の腕の中にいた。
親父の暴力が止むまで
そこで……守られていた。
悔しい気持ちと
母親に、わりぃことしたな…って
罪悪感とで、ごちゃごちゃだった。
それからはずっと
妹を抱っこして〃かくれんぼ〃
自分の耳を塞ぐ代わりに
目を閉じて
〃音〃が止んだら
妹を寝かせて
こっそりと下に降りるんだ。
ボロボロで座り込んでる
母親の元に。
『おかあさん…』
背を向ける母親の
背中を黙ってさすってた。
声をかける俺に
母親は・・・絶対に
振り向かないんだけどさ
殴られた顔を
見せないんだけどさ
いつも明るい声で言うんだよ
『こわかったね、ごめんね』
『ユウくん、ありがとね』
『いつもありがとうね。えらかったね』
って
妹を連れて隠れる俺を
ただ褒めてくれたんだ。
多分……絶対
泣いてんだけど
それを俺に見せずに
俺を抱きしめてさ
『お兄ちゃん、えらかったね』
ってさ。
俺・・・早くデカくなりたかった。
この腕におさまらないように
早く…この腕から
はみ出るくらい
デカくなって
そしたら
母ちゃんも妹も
ちゃんと守ってやれんのにな……って。