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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第6章 マリアの日記・・・

だけど母親は

俺がデカくなるのを待たずに

妹が幼稚園に預けられるようになると
すぐに働きに出て

ついに離婚した。





必死に働いて
女手ひとつ・・・俺と妹を育てた。


旦那の暴力から解放されたかと思えば
多忙な日々


でもそんな母に
ある時、ある人が現れた。


俺の……今の親父だ。


母親は再婚した。



やさしくて
本当に良い人で
連れ子の俺と妹を
自分の子どものように
可愛がってくれた。


籍を入れるのを俺らに遠慮……
というか、ためらったらしいが


俺は、その人を
『親父』と慕うことに
なんの抵抗もなかったし
むしろ嬉しかった気がする。


高校も…大学まで出してくれたのは
その人だ。


その事に本当に感謝しているし

何より

子連れの俺の母親を
俺ら兄妹ごと受け入れ

母親を幸せにしてくれたことに
俺なりに感謝と尊敬をしている。







だから…忘れている

それからは、明るくて
楽しい家族と過ごした…

俺も妹も……そして母親も。


だからすっかり忘れている……

忘れた気になってるが




そんな幼少期の記憶があるからか



家庭内暴力だとか
そんなワード聞くと…

どうしてもそんな記憶が甦って
心底、胸くそワリィ気分になるんだよな。





それをトラウマというのか
わからないが




何より…それが

マリアのことと
どう関係あるんだよ?って
言われたら

それもわかんねぇし


実際のところ

理由という理由なんてない


というか…わからない。

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