テキストサイズ

かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第8章 ゆるされぬ想い・・・

『ゆぅちゃん…どうして、泣くの?』


『泣いてねぇよ・・・』





くそ・・・

何コーフンしてんだよ俺・・・。







『私・・・は、私だって

自由に・・・なりたい。

なれるなら…なりたい』







『なれるよ・・・必ず』






『簡単に…言わないでよ』






『簡単じゃ…ねぇかもしんねぇけど
何もしなきゃ・・・このままだ。
マリアなら・・・』









『あなたに何がわかるって言うのっ?!』




『マリア・・・』





『私の気持ちなんて…
誰にもわからないっ・・・!』







やれるなら、とっくにやっていた…

マリアにしかわからない
マリアの苦悩…。





そんな姿は…

マリアが初めて
その苦しみや苦悩を

感情をあらわにした…
そんな風に俺には見えた。







『・・・』



『・・・ごめん』







マリアがハッとして
俺に謝ってきた。






『ふふ・・・マリア?
マリアの自由は…?

マリアの…叶えたいこと
やりたいことも

いっぱいあるんじゃねぇの?』





マリアは涙を流しながら
目をクリクリさせた。





『大好きな人と・・・
幸せになりてぇんじゃねぇの?』




『・・・』







『やり直して・・・

好きな人と…幸せになって

赤ちゃん産みたいんじゃ
なかったのか?』







『・・・っ』








『叶えろよ・・・全部』





マリアはスッと目を閉じて
静かに涙を流した。






『俺・・全部叶えたマリアを
見てみたい…』

ストーリーメニュー

TOPTOPへ