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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第8章 ゆるされぬ想い・・・

『・・・なるほどな(苦笑)』


『でも・・・遠いから、だけじゃない
心配かけたくないのも…あるけど』



『・・・?』







『私・・・弟がいるんだけどね

ん・・・田舎の家だからってワケじゃ
ないけど

弟は…跡取りだから
私は自然と、自分はこの家にはいない

出ていくものだって思ってたし…
帰るつもりも、もちろんなくて』





『けどさ・・・緊急時だぜ』






『ん~・・・と、それは

親に心配とか迷惑かけたくない、のもある
それ以上に…

弟も・・・そのうち結婚すると思うから

まぁ、最近の子なら
実家で…私の親と
一緒に住んだりは多分しないかな?

でも、私が出戻りで
実家にいたりしたら

弟にも、弟のお嫁さんにも
迷惑かかると思うから』





マリアの抱えるものは・・・

マリアの考えることは
俺なんかが思うことよりずっと

深くて深刻なんだよな・・・。






『弟にだけは・・・迷惑かけたくないんだ。

弟も・・・やさしい子だから。

お荷物に…なってたくない』







遠くはなれた家族のことを想って

心配かけまいと、相談もせずに




じっと耐えて、耐えて・・・







『・・・ひとりで頑張ってきたんだ』






『・・・。私の問題だから』








『フゥ・・・~すっとんで行ける
距離でもねぇしな?』





『・・・』







『・・・よし。決まり』






『・・・?』







『ここにいろ、マリア』








『は・・・?』












『ここがマリアのシェルター・・・』








『・・・???』













『俺が・・・マリアのシェルターになる』




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