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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第9章 鳥かごの中で・・・

電話を終えて
マリアが戻ってきた。

『ゆぅちゃん…私、明日帰ります』




・・・。




『ん…そうか。良かった…』





帰ります…帰る




マリアの帰る場所は、あそこ…




あの鳥かごなんだよな。







『ぁ・・・旦那サン、何だって?』





実際、なんて言ってるのか
気になる。







『もう・・・殴らないって…』





『・・・』






『もう絶対に殴らないから…って』








ちょっと微笑みながら
マリアは言う。








ザワザワ・・・



俺は一人で不安にかられる





マリア・・・本気で


言ってるのか?






『マリア・・・それ
何回言われた?』





『???』






『前にも…言われたんじゃないのか?』








マリアに本当に気の毒だが

そういう男は・・・治らない。







『いつも…はじめは
平謝りしてくるんじゃ、ないのか?』









『ふふっ・・・うん』









『マリア・・・だったら…!』







力なく笑ったマリアは

〃わかってる〃って感じだった。








『…それでも、そこから逃げたら
先がないから。

追われるようなことになるのは
嫌だから。

今回…せっかくもらったチャンスだって
そう思ってるから』






マリアは決心は揺るがない
って感じだ。


にこやかで・・・冷静さを
持ち合わせて


外に出て
冷静にものが見えてきたのか

俺はそれは本当に良かったと
思ってる。



俺の知る限りで
一番前向きにしてるマリアだった。


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