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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第10章 ダメかな・・・?

『家具とかさ…足りてんの?』




殺風景な部屋を見渡して
マリアに聞いた。




『ん~…当分は、ガマンかな?

冷蔵庫とレンジは確保出来たから
まずはヨシ♪

仕事も事情を話して
時間増やしてもらったりとかしないと

生活が少し落ち着くまで
最低限のものがあれば十分だよ

快適快適♪』






『じゃあさ、引っ越し祝いやるよ?

なんか欲しいモンねえの?
必要なモンでも、なんでも

ホラ…テレビは?』




『えー・・・いいよぉ
そんなこと…気を遣わないで?

テレビ?!そんな高価なもの
もらえないよ!?やめて?!
ダメダメ!
ゆぅちゃん優しすぎ!

気持ちだけで十分だよ
~テレビなくても死なないし(笑)

んー…あ!じゃあアレ!』





『???』






『ゆぅちゃんの作ったカレーがいい!』







『は・・・?(笑)』







『すっごくおいしかったもん!』







『お前なぁ…(笑)💧
もうちょっと・・・
もう…ちょっとだけでも
いいもんにしろよ?

祝いだって言ってるだろ?
少しくらい…贅沢言っても
バチあたんねぇだろが?

ここまで頑張ったんだからよ?』








『ふふ・・・贅沢なんて、出来ないよ』



マリアが少し寂しげに笑う。



『・・・?』


『今回ここまで出来た事で
もう十分過ぎるくらい有難いと思ってる。

なにより
そのきっかけとチャンスをくれた
ゆぅちゃんには本当に…

感謝してもしきれないよ。
助けてくれて、励ましてくれて

本当に…ありがとうございました』





マリアが深々と頭を下げる。





『だから…少なくとも今の私に
これ以上の贅沢なんてバチ当たり♪

ゆぅちゃんや、周りの人たちに
感謝して

ちゃんと自立していけるように
これから頑張るの

それに・・・』



『・・・?』



それからマリアは
笑顔のなかに少し重い表情をみせた






『やらなきゃならないことも
まだ…残ってるから』




それは・・・つまり





マリアが


少し重そうに口を開いて

〃本当のところ〃の訳を
話し始めた。

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