テキストサイズ

かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第11章 そういうの・・・碧いよ


黙りこくってしまったマリアを前に

俺はヒートアップ(?)して

多分、調子こいてた。




『私なんか、私なんか~~~とかさ

自分は××したらダメだから~とかさ

もうそういうの、いいんじゃねぇの?

せっかく・・・
新しいスタート切ったんだしさ…』





偽りはない

俺の本音…俺の言葉だけど




もしかしたら俺は
この時

〃マリアが自分のものになるかもしれない〃

〃振り向いてくれるなら、それで…〃

ただそう思って…

それだけのために
躍起になってただけかもしれない。








『よく・・・ないよ』






『どうして?』






『ちっとも、よくないよ…。

自分の言ってること
わかってる?

ゆぅちゃん、それがどういうことか
本当にわかってるの?』







『わかってる』







『もしも、なにかあったら…っ』





『ホラ…、それだよマリア・・・
それ…いらねぇんだよ。

俺は・・・俺なりの〃覚悟〃持って
言ってるぜ。

半端な気持ちでもなんでもねぇ
…なんかあったら?だと?

そしたら…一緒に乗りきれば
いいじゃねぇか。

だから…一緒にいたいって
言ってんだよ、バカ。


もしも…行き先が〃地獄〃なら
マリアと一緒に堕ちてやる。』





『ゆぅちゃん…』







何かカッコつけて…
キザな事を言うつもりも

調子こいて…相手を
マリアを・・・口説くとか

そんなつもりは一切なかったんだ。

もっと言えば
俺自身に…そんな
気持ちの余裕なんか、ちっともなかった。


なんとか、精一杯

思ってること…言っただけだ。







それでもきっと・・・?


普通なら


こんな時は



相手に気持ちが通じて?


「さぁ~恐がらずに
俺のとこにバーーンと
飛び込んでこいよ」



とか言っちゃって?

ようやく気持ちは実り

二人は結ばれて~…とかって




そんな展開があっても
オカシくないシチュエーション?



(俺が言うなよな?(苦笑))














でも・・・実際はな




そうじゃ





なかったんだ・・・。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ