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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第11章 そういうの・・・碧いよ

『泣いてないから…はなして』



俺の胸から
マリアのこもった声が聞こえる。



マリアが

一人で泣くのは嫌だ。



マリアが泣くのは…嫌なんだ。




たとえ泣かせてるのが

俺であっても・・・







『一人で…泣くのはやめろよ』








俺は腕の力を強めた。






『やめて・・・ってば』




マリアは俺の胸を押し返して
はなれようとしていた



力で…敵うハズないのに

必死に…。






『ふふ…マリアが泣き止んだら行くよ』





マリアの頭をワシワシとなでる







『ダメ。

・・・私の、都合良いときだけ

甘えるのは…ちがう』






マリアの声に

俺はついに腕をはなした…。





『ゆぅちゃんは…っ

本当に…お人好しだなぁ…っ

…っっ。~もう大丈夫だから』





そう言うマリアは

泣き止むどころか・・・

次々に大粒の涙をこぼして・・・









『マリア・・・?』









涙でいっぱいの顔を隠しながら
マリアはまた背を向けようとする…








泣かすつもりなんて・・・なかった





困らせるつもりも

苦しめるつもりも・・・。





そんなに・・・泣くなよ。




なんて…勝手な事を
思ってみたり






でも・・・どうしたらいいんだ俺?



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