かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第15章 命の・・・重さ
マリアの大家さんから
連絡があったのは
それから間もなくの事だった。
『ゆぅちゃん、私今日は
帰り遅くなるから、ごはん先に~』
『大家さんのとこ?
仕事おわってから行くんだよな?
なら・・・俺も間に合うから一緒に』
『え…でも、それは……』
わかってる。
下手に一緒に行動したり
まして、お互いの周りの人に
不要に顔を覚えられない方が良いことは
『兄貴って事にしてるし?
実際に妹いるから俺♪
そこそこ上手くやれると思うぜ?』
『せめて・・・〃弟〃って…』
『その方が疑われそうだから(笑)
やめとけ♪』
だって、みんな見てくれよ?
どう見たってさ…俺のが年上じゃね?
俺が兄貴って名乗った方が
まだスムーズじゃねぇ?(笑)
どちらにしてもマリアの
今後の住まいの事は考えなきゃならない
俺は押し切る形でマリアに同行した。
仕事が終ってからバラバラで
待ち合わせの喫茶店に向かう。
『大家さん、この度は
ご迷惑おかけしました。これ…』
マリアが開口一番に
御詫びにと持ってきた菓子箱を
大家さんに手渡した。
『あらあらマリアちゃん!?
やめてちょうだいなっ…
そんな…あなたって子は、もぉ~』
そう言って大家さんが
マリアに差し出すのは
〃御見舞い〃と
のし紙がかかった菓子箱…
『やだもう…ふふ』
『ほんとねっ…うふふふ』
思わず場に笑みがあふれ
和んだ。
とは言え
話はしなければならない。
否応なしに重い空気が・・・
そんな中
おばさんの口から出た話は・・・