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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第15章 命の・・・重さ


俺・・・勝手に思ったんだけどさ


でさ、冷静に考えればだけどさ


大家さんは
入居審査とか諸々で
マリアの身上くらい知ってるんじゃないか?

ましてこんなしっかりした管理人が。

その辺は不動産に任せきりで知らないとか?
そんなこと…あるだろうか。


マリアは夫がいる…なのに一人暮らし




そして兄と名乗って
不自然にそばにいる俺って男…





それを

不審に…とか

何も思ってないワケ


ないよな?…なんて思う。






まぁ、思ったとしても
ズケズケ聞いてこれる人も
いないだろうけどさ


何も聞かず…



兄と名乗る俺に
疑う余地も見せないかのように

楽しく振る舞ってくれて
何よりマリアによくしてくれて…




俺が・・・勝手に思っただけだけどさ



この人なら…
このおばさんなら


例え俺たちの事を知ったとしても
何があったとしても


ずっとマリアの味方で
いてくれんじゃないかな…なんて

勝手に思ったんだ。




理由はないけど、勝手に思ったんだ。



その意味じゃ孤独な俺たちにとって

唯一の味方…?

初めての理解者?…だなんてな



あるいは
そうだったらなぁ…なんて
甘ったれた願いか。



まぁ、自分に好都合な
夢を見すぎ…

そんなのは
〃幻想〃ってヤツだと…思うけどさ?





どんなに良くしてくれる人にでも
俺たちが、俺たちの今の関係を

自ら話すことは
永遠にないだろうから


どちらにしても
関わりのないこと

幻想でしかないけどな。








マリアはマリアの城に
無事に戻れる事になった。




マリアがいて

母親みたいな良い人過ぎる
おばさんがいて

たまにネコとか迷い込んできて…

そんなボロアパートがさ




なんか俺・・・


めちゃめちゃ愛しく感じてるんだぜ?

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