
かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第15章 命の・・・重さ
『ふふ・・・でもそれなら私・・・』
マリアがニコリと笑った。
『私が、自由に選んで良いなら
私・・・このままあそこに
住まわせてもらいたいです』
『マリアちゃん・・・』
『だって…良いお家も、安いお家も
いくらでもあって紹介もしてもらえる
かもしれないけど
良い、オーナーさんは
中々紹介してもらえるか
わからないもの♪』
マリアの答えと笑顔に
その場は完全に和んだ。
俺とマリアは、そのまま喫茶店で
大家さんに夕飯をごちそうになった。
『お兄さんは~…まだ独身なの?』
『え、ええ…まぁ』
『それならこの際!マリアちゃんの
お隣に越していらしたらっ?!(笑)』
『んがっ!?』 〃何ですと?!〃
『それならどんな優秀な鍵よりも
マリアちゃんも安心だしねぇ~~♪
おばさんも空き部屋塞がるし
一石二鳥よ~~!?
お安くしておくわよぉ~
お兄さん~?(笑)』
経営者ならではの、中々イカす
シャレにならんジョークとばして
おばさんは場を明るくしてくれた(笑)
(ジョークとは言え、大した名案だが?)
『こんな可愛い妹さんだもの~
お兄さんも心配でしょうにねぇ!
悪い虫がつかないようにしなくっちゃ!
うふふふっ』
・・・俺が正に
その悪い虫…なんですよね。
とは
ギャグでも笑えねぇから
てか、ちっとも笑えねぇから
言えなくてさ。
(たまには笑いとりたくて
しょーがねぇんだけどさ…)
『おばさん私…
そう若いワケじゃないし(苦笑)
恥ずかしい…』
『っんもうっ!良い若い子が!
まだまだこれからでしょうっ』
良い人だ…本当に
ついでに人間性とか
キャラまで豊かで可愛いおばちゃん。
